研究会について

佐護ヤマネコ稲作研究会
対馬の里山の象徴であるツシマヤマネコ。悲しいことにその数は年々減少の一途をたどり、絶滅も危ぶまれています。その大きな要因の一つに、農家の高齢化などによって耕作放棄地が増え、ヤマネコにとって好適な生息環境が減少したことが挙げられています。ツシマヤマネコの生息環境を作ってきたのは、田畑づくり、山づくりといった対馬の人々の営みだったのです。

私たちには、対馬を耕し続ける使命があります。
農家が活き活きと米づくりを続けることが、ヤマネコの生息にとってもプラスになり、ひいては安心・安全なお米を求めるお客様のニーズにも応えられるならば、対馬の将来にとってこんなうれしいことはありません。
脈々と受け継がれてきた「自然との共生」の知恵ってなんだろう?私たちは、もう一度百姓の原点に立ち返り、みんなにとっての「うれしい」を実現するために、活動しています。

田んぼとヤマネコ

ツシマヤマネコは、日本では対馬にのみ生息する野生のネコ科動物です。10万年以上前、まだ日本列島が大陸と陸続きだった時代に、大陸から渡ってきたと考えられています。 日本にはかつて、オオヤマネコが生息していましたが、現在ではベンガルヤマネコの亜種とされているイリオモテヤマネコ(西表島)とツシマヤマネコ(対馬島)の2種だけです。
肉食動物で、ネズミやカエル、鳥を主に捕食しますが、イネ科の植物も食べます(消化を良くするためと言われています)。大型の肉食獣がいない対馬では、ツシマヤマネコが最高次捕食者です。生態系の頂点に位置するツシマヤマネコが生息できるということは、その環境が健全であることの証なのです

≪ツシマヤマネコの特徴≫


モデル:トラジロウ、ごくう、いっちゃん

夏毛と冬毛


モデル:福馬くん

啼き声は「みゃ〜」

モデル:りきくん

≪ツシマヤマネコに迫る危機≫

そんな対馬の宝であるツシマヤマネコに、危機が迫っています。1960年代には、対馬全島に250~300頭生息していたと考えられていますが、最近の調査では70~100頭にまで減少し、対馬南部では一時、生息が確認されなくなった時期もありました。
減少の要因には、交通事故、とらばさみなどによる錯誤捕獲、イエネコとの接触による感染症(ネコエイズなど)が考えられていますが、一番大きな要因は、生息環境の悪化だと言われています。

ツシマヤマネコは、山林だけでなく、田んぼや畑、草むらや竹林、水辺など様々な環境を利用しています。様々な異なるタイプの環境が混在する、ヒトと関わりが深い里山的な自然が、ヤマネコにとって住みよい環境です。人口の減少で、手入れのされていない人工林や耕作放棄地の増加など、自然に人の手が加えられなくなったことが大きな要因であると考えられています。

田んぼは、水辺を利用する様々な生きものの宝庫です。ツシマヤマネコは、田んぼにやってくるネズミやカエル、鳥などの様々な動物を食べています。ツシマヤマネコが生息している田んぼは、それだけ生きものが豊かな証拠です。
いろんな生きものが住める田んぼを作ることで、生きものが田んぼに養分を与えたり、害虫を捕食してくれたりと、農薬や化学肥料を減らすことにもつながります。

~田んぼの一年とツシマヤマネコの一年~
田んぼでは、四季を通じて、様々な生きものたちのすみかとなっています。ヤマネコもその一つ。田んぼの一年とツシマヤマネコの子育てのサイクルが、見事に一致しているのがわかるでしょう

夏から秋にかけて、稲穂が成長してくると、
田んぼでは実際にヤマネコの姿がよく見かけられます。
この時期は、ちょうどヤマネコの子育ての時期。
無邪気な仔ネコが時々田んぼから飛び出してきて、
農家を和ませます。

≪ヤマネコを育む米作り≫

1.早期湛水

田植えの前に田んぼに水を入れておくことで、プランクトンやミミズが増えます。また、早く発芽した雑草を、代掻きで土の中に閉じ込めてしまうので、抑草の効果も期待できます。
対馬にしかいないカエル、ツシマアカガエル、チョウセンヤマアカガエルの2種は、2月から3月の早い時期に産卵します。この時期に田んぼに水を張っていると、これらのカエルも産卵することができます。

2.種子消毒
伝染病を予防するために、種もみをお湯で消毒したり、微生物を使って病原菌を退治したりして、農薬に頼らずに伝染病を予防します。

お湯で種もみを消毒している様子→
約60度のお湯に10分間浸けて消毒します。

 

3.深水管理
稲の成長とともに水深を深くしていきます。水深を深めに保つことで、農薬を使わずに雑草の発生を抑えることができます。また、田んぼの水温が高くなるこの時期、水路からメダカやドジョウも田んぼに上がってきて産卵します。

 

 

4.中干し延期
稲の株数が過剰に増えるのを抑制し、土の中に酸素を入れて有害物質を無毒化するために、一度田んぼの水を抜きます。この、中干しのタイミングが早すぎると、田んぼの中のオタマジャクシやヤゴが成長する前に死んでしまいます。研究会では、オタマジャクシがカエル、ヤゴがトンボになる時期を待って、中干しを行っています。
稲の成長の具合から、中干し延期が難しい場合は、田んぼの一部に溝を掘ったり、ビオトープとつなげたりして、水中の生きものが避難できる場所を用意しています。

 

5.畦草管理
田んぼへの日当たりをよくするため、畦草を刈ります。畦草を刈ることで、稲の汁を吸うカメムシの発生をある程度予防することにもつながります。このとき、一部に刈り残しを作ったり、一度に全て刈らずに輪番で刈っていくなどして、畔に生息している小動物が逃げ込める場所を残します。

←こちら側はきれいに刈りそろえていますが、
向こう側は刈り残しています。
このように刈りこむ時期をずらすことで、生きものの逃げ場を作ります。

 

6.有機資材を使った土づくり
有機物を田んぼへ入れると、それを餌にする微生物が増えます。微生物は、有機物を分解し、稲が吸収できる無機物の形に変えてくれます。最初から無機物の形の化学合成肥料ばかりを使用すると、餌がないので微生物が減少し、土が固くなってしまい、生きものがあまり住めない土になってしまいます。
稲作研究会では、収穫後のワラを土にすきこんだり、堆肥をまいたり、地域由来の有機資材を積極的に活用し、地域内での資源循環にも努めています。
→稲を刈った後のワラを切り刻み、
養分として田にまきます。

 

7.冬期湛水
湿地となる平野が少ない対馬では、特に田んぼに水がなくなる冬は、生きものが利用する水場がほとんどなくなってしまいます。田んぼに冬でも水を張っておくことで、湿地を求めて渡り鳥がやってきます。冬の田んぼに集まる生きものは、ヤマネコにとっても貴重な餌です。
また、冬に田んぼに水を張ることで、ワラの分解が進み、藻類も増え、稲の養分となります。田んぼにやってくる水鳥たちの糞も貴重な肥料です。プランクトンやミミズなどの働きで、土が柔らかくなり、「トロトロ層」が形成され、田んぼの水持ちをよくしたり、雑草タネを閉じ込め発生を抑えることにもつながります。

■ 生きもの調査
田んぼに入り、水をすくったり、稲株を叩いたりして、田んぼの周りに生息している生きものの調査を行います。生きものの出現状況を定期的に確認することで、害虫の発生の状況も把握することができ、本当に必要な時期に必要な場所にだけ有効に農薬を使うことが出来るので、農薬の使用を減らすことにつながります。稲作研究会では、だいたい、田植えのあと(おたまじゃくし、ヤゴなどの水生生物が見られます)、中干しの前後(中干しのタイミングをみます)、そしてウンカが大量発生する秋口に生きもの調査を行なっています。

 

ご購入

佐護ツシマヤマネコ米はサスティナブルショップミットで販売しています。

お問い合わせ

佐護ヤマネコ稲作研究会(一般社団法人MIT内)
〒817-1533
長崎県対馬市上県町志多留208
電話:0920-85-1755
FAX:0920-85-1755

佐須奈事務所
〒817-1602
長崎県対馬市上県町佐須奈甲562-24
電話:0920-84-2366
FAX:0920-84-2366

メール:sago@yamanekomai.com